アート

若狭陽子 リトグラフ展:展示作品紹介。リトグラフ、その他

 

・・・リトグラフ作家として活躍中の若狭陽子氏が、この度個展を金工堂にて開催しました。

同展示会のモチーフは、猫を主体とした作品です。愛猫家、版画作品愛好家におすすめです。

繊細な優しさと丁寧さの溢れる、リトグラフ作品を楽しんでいただければ幸いです。

写真:若狭陽子氏、リトグラフ案内状。

 

若狭陽子 リトグラフ展

写真(2023/3/3):金工堂(地下鉄栄2番出口)。

 

展示会場、Art Salon 金工堂

  • 展示期間:2023/3/1(水)~14(火)。
  • 開館時間:12:30~17:00(最終日15:00迄)。
  • 休館日(土・日):4・5・11・12。

 

写真(2023/3/3):若狭陽子氏と作品、Art Salon金工堂にて。

 

展示作品紹介

・・・今回は、猫をモチーフにしたリトグラフを展示してあります。

チョビちゃんの夢

 

チョビちゃんを守る。おーぃ!味方達

 

おはよう ピーちゃん。

 

おはよう!ピーちゃん!(手彩色)

 

チョビちゃんを守る

 

チョビちゃん

 

チョビ

 

上野の猫の物語 Ⅲ

 

チョビちゃんの旅。プレコと道連れ。

 

チョビちゃんを守る。未知の世界へ。

 

サクラ(手彩色)

 

チョビちゃん 水の怖さを知る

 

凛Ⅱ(水巡りて凛となる)

 

リトグラフ

・・・木版画作家の私は、リトグラフの手法に興味がありググってみました。

語源

リトグラフ(石版画)とは、 語源はlithos(ギリシャ語で石の意味)から出来たとされています。

言葉の通り、平らな石の上に描画(現在ではアルミ板)し、印刷する版画です。

歴史

・・・1796年 –  ヨハン・アロイス・ゼネフェルダー(プラハ生まれ、ミュンヘン没=俳優・劇作家) が、

石灰石の上に脂肪クレヨンで描画し、アラビアガム硝酸を混合した弱酸性溶液を上から塗布することで化学変化を起こして版を作る平版印刷を発明しましました。

発明の経緯

ある日彼は油性クレヨンで石灰岩の上にメモを書き、

後で硝酸で洗い落とそうとしたがクレヨンの跡が残ってしまった。

この跡の部分にはよく油が乗ることに気付いた彼は、油性インクで石灰岩上のクレヨン跡に書き、

紙を押し付けたところ紙にインクの形を転写することに成功しました。

リトグラフの原理

・・・石灰石の上に耐酸性の脂肪クレヨンで直接字を書き、

上からアラビアゴム硝酸を混合した弱酸性溶液を塗ることで石灰岩に化学変化を起こさせる方法を編み出しました。

クレヨンで書いた部分には脂肪と硝酸が反応して脂肪酸ができ、

脂肪酸は石灰岩の中のカルシュウムと反応して油性インクの乗りやすい脂肪酸カルシウムができる。

一方クレヨンで書かなかった部分には水を保つアラビアゴムの皮膜ができます。

この石板の上に水をたっぷり乗せ、ローラーで油性インクを押し付けると、

クレヨンで書いた部分にはインクが乗り、書かなかった部分は親水性の皮膜によって水が油性インクをはじいて、

結果クレヨンで書いた部分だけにインクが残ります。

この上から紙を押し付ければインクが紙に移り、文書の完成です。

つまり、水と油の反発作用を応用し、平面の油性部分インクを付着させてプレスですり取る方法です。

結果、19世紀 – リトグラフの技法がヨーロッパで広まりました。

写真:作家使用中の油性の描画材(ダーマトグラフ)。

 

技法(描画→製版→刷り)

<描画>

研磨したアルミ板・石版やジンク版、ベニヤ板などに油性の描画材(ダーマトグラフなど)で描きます。

尚、通常のタイプの他に各種が各社から販売されています。

リトクレヨン – リトグラフ用の油脂分の多いクレヨン。グリースペンシルのような形態でも作られる(リトペンシル)。

<製版>

水で湿らせながら油性部分のみインクがのるように製版する。

<刷り>

水と油の反発作用を応用し、平面の油性部分インクを付着させてプレスですり取る方法。

特徴

・・・板を彫ったりして凹凸を作らずに済む、平面のままの印刷用原版を作る方法(平版印刷術)。

描画→製版→刷りの複雑で時間も多く要するが、描画材の独特の質感、

強い線、きめ細かい線、筆の効果、インクを飛ばした効果など、

描写したものをそのまま紙に刷ることができ、多色刷りも可能で、

版を重ねるにつれて艶を有した独特の質感が出てくる。

有名作家

・・・19世紀以降ロートレックなどの画家が斬新で芸術性の高いポスターをこの方法で描いた。

以前は巨大な石(石灰岩)に描いていたので石版画(石版印刷術、リトグラフィ)とも呼ばれるが、

扱いやすいアルミ板に描くことが近年は多くなりました。

その他

新聞記事

写真:濃密で謎めいた雰囲気を醸すリトグラフ作品を出展した若狭さん(2023/3/7、中日新聞)

猫や熱帯魚の「心象」表現

美術団体「春陽会」版画部会友の若狭陽子さん(70)=武豊町=のリトグラフ版画展が、

中区錦三のアートサロン金工堂で開かれている。14日まで。

展示は、13点。自身が飼う4匹の保護猫や熱帯魚などをモチーフにした濃密で謎めいた雰囲気の作品が並ぶ。

作品のほとんどがモノクロ。猫田とのっ周りをうっそうとした木々や植物が取り囲む。

「家の中で暮らす保護猫たちが外へ出たとき、そこには緑の自然とともに危険も潜む」。そんな心象風景を描いている。

油彩、日本画や銅版画、友禅染と多彩に手掛ける。

版画の中で特に手間がかかる平板のリトグラフに取り組むのは「描いたままの表情の作品を制作できる」から。

「あえて難しい技法に挑みたかった」という。10余年前に武蔵野美術大通信教育講座で学び、

東京都国立市にあるリトグラフ工房に定期的に通いながら制作を続けている。午後零時半から五時。土曜日は休み。

プロフィール他

  • ・・・1952年神奈川県生まれ。2010年武蔵の美術大学卒業。
  • 1997年、中日新聞社賞(大府市民展日本画)。
  • 2016年、アワガミファクトリー賞(京都版画)。
  • 2015年、OギャラリーUP・S 銀座にて個展。
  • 東京・名古屋・京都・岐阜高山に於いてグループ展。

展覧会歴

  • 2017年、高知国際版画トリエンナーレ展。
  • 2018年、山本鼎版画大賞展。
  • 2017年、2021年、CWAJ現代版画展。

所属

  • 日本版画協会準会員・春陽会版画部会友。
  • ラール・ヴェリテ リトグラフ研究所。

若狭陽子 リトグラフ展のまとめ

・・・木版画作家の私は、リトグラフの手法に興味があり、今回を機に深堀してみました。

展示会場で、リトグラフとはどんな手法であるか、作家の方から直接取材できた貴重な体験でした。

版画作家に共通な出来事ですが、完全に製版したつもりでも結果的に思うように摺れないことなど、

リトグラフは、薬品の扱いが難しさを伴う技法だ、との感想をうけました。

モチーフは猫を主体として展開、作品一杯に作者の猫愛が伝わってきます。

繊細な優しさと丁寧さの溢れる、リトグラフ作品を楽しんでいただければ幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。