アート

木版画「時空」25-2、制作工程

・・・夜空に輝く無数の星を見飽きることが無かった幼少期。

宇宙図鑑をめくりながら目を奪われたのは、見たこともない星雲の数々。

はるか遠くで展開される星雲の姿を何とか表現したいと思い、2024年の作品「時空」ー3に挑戦しました。

それに続き、2025年は、作品「時空」25-2を制作しました。ご覧いただければ幸いです。

木版画「時空」25ー2、制作工程

・・・木版画で「時空」25-2の制作工程を説明します。まず作品のヒント、次にデザインの過程から説明します。

「時空」25ー2、ヒント

・・・「時空」ー3の作品の上部半分を切り取り、左部分に三角の築地塀及びそれ沿った白い切れ目を入れました。

デザインの過程

基本

  • 色調:作品「時空」ー3の上半分を基本に、背景は暗く外輪は明るい色調にしました。
  • 構図:作品の左に築地塀を三角形にし、それに沿って白のくさびをいれ、画面全体に緊張感を持たせました。
<ご参考>「時空」ー3の作品

「時空25-2」の完成イメージ

彫り

作品上部(その1)

作品上部の背景及び円形の空間

 

作品上部(その2)

作品上部の円形の黒いまだら模様

作品左端の三角形の築地塀

以前に使用した作品の版木をカットし、保管分したものを使用しています。

汎用性の高い部分の版木は、後の作品制作に有用であり廃棄せずにストックしています。

 

作品左側の三角形築地塀(写真の右)

摺り

背景カバーのマットをセット

 

 

和紙をセット

下地完成

  • 作品全体の背景には、私の作品の特徴である築地塀柄を暗いトーンで配置します。
  • 築地塀柄は目立たないように、暗いトーン(黒とベインズグレーのみ)で彩色します。

 

 

築地塀摺り(その1)

 

 

築地塀摺り(その2)

 

中央円形

 

円形及び周囲

 

背景

<摺り・版木のポイント>
  • 重ね摺り:本作品で円形の重ね刷りは、マチエールと同様重要な作業です。水彩絵の具は薄く溶いて・摺りを重ねます
  • 版木の木目は横向き:円内の筋が水平に流れ画面に変化をもたらし、バックの濃紺の背景とマッチします。

築地塀影及び黒斑点模様

「時空」25ー2、の完成

左上部の築地塀に沿って白のくさびをいれ、画面右下部の白の部分に対しとバランスと緊張感をとっています。

その他

過去の作品、時空ー1・時空-2・時空ー3

・・・今回「時空」25-2を制作する前に、時空―1・時空ー2(2012年)・時空ー3(2024年)の三点の制作しています。

時空ー1

時空ー2

「時空」ー3、の完成

時空―1・時空ー2の二点を出展してから10年経った今、「時空」作品に再挑戦できるお思いを込めました。

*作品は、2025年6月11日~15日「第65回版画伍人展」に出展予定です。ご高覧頂ければ幸いです。

木版画「時空」25-2、制作工程のまとめ

・・・木版画暦20年超の経験の中で同じ題材で、10年前の題目「時空」の思いに再挑戦し、その制作過程を掲載しました。

幼少期に宇宙図鑑で見た星雲。その後、版画を手掛けるようになってから美術館・博物館で見た曜変天目茶碗

版画教室で学んで身に着けた信長塀の築地塀技法。この三点のコラボで実現しました。

私事恐縮ですが、昨年(2024年)版画教室へ行く途中に地下鉄で倒れ、救急搬送され即入院(大動脈解離)でした。

大勢の皆様のおかげで奇跡的に一命をとりとめましたが、これも版画の神様のご褒美と有難く受け止めています。

今後とも、「時空」シリーズを応援いただければ幸いです。

最後までご覧いただき有り難うございました。