アート

鈴木幹二:没後20年企画展、木版画小品展及び木版画の世界展

 

・・・木版画家として活躍された鈴木幹二氏没後20年の企画展が、開催されています。

鈴木幹二:没後20年企画展

写真:リ・ライフギャラリーと大府市歴史民俗資料館。

 

・・・木版画として有名な鈴木幹二氏は、大府市を拠点に木版画の普及に活躍されました。

同氏没後20年企画展が、同市内2か所で開催されていますので紹介します。

木版画小品展(リ・ライフ ギャラリー)

  • 開催場所:リ・ライフギャラリー(株式会社愛知工務店1F)。
  • 所  在:大府市桃山町5-20,TEL0562-44-5033。
  • 開催期間:前期(2023/7/5~7/30)、後期(8/2~8/20)。
  • 開催時間:平日(PM1:00~5:00)、土・日(AM10:00~PM4:00)。
  • 休館日:毎週火曜日、8/11~16。

成田先生からの案内状

写真:(右)成田先生から、ご丁寧な案内状。

今回の鈴木幹二先生没後20年企画展開催について、

会場の提供にもご尽力された成田先生から、心温まる、ご丁寧な案内状をいただきました。

案内状には先生の木版画普及に貢献された様子を感じました。

企画された森岡先生、角島牧子さん(先生のご遺族)にも厚く感謝申し上げあます

 

木版画の世界(大府市歴史民俗資料館)

  • 開催場所:大府市歴史民俗資料館1F。
  • 所  在:大府市桃山町5-180-1、TEL0562-48-1809。
  • 開催期間:2023/7/8~8/20。
  • 開催時間:PM9:00~6:00(入場閉館の30分前まで)。
  • 休館日:毎週月曜日、7/18・7/28。
  • 主 宰:大府市歴史民俗資料館。
  • 企画協力:森岡完介、協力:角島牧子。

畑先生からの案内状

写真:(右)木版画教室の生徒向け案内状。

現在通っている木版画教室の講師畑先生からも、ご丁寧な案内状をいただきました。

案内状からは、この地区で木版画普及に真摯に貢献された様子を感じました。

木版画を学ぶ上で生徒に参考にしてほしい思いが伝わってきます。

 

 

 

木版画小品展

・・・「木版画小品展」は、JRおおぶ駅から徒歩5分程の愛知工務店1F「リ・ライフギャラリー」に展示中です。

「リ・ライフギャラリー」

・・・愛知工務店1Fの一画にモダンな「リ・ライフ ギャラリー」があります。

写真:「リ・ライフギャラリー」外観、株式会社愛知工務店1F。

 

小作品展示状況(前期)

・・・生前の遺作品のほか版木が展示されており、さらに版木を手で触れることもOKです。

右壁側に展示

縦・横・斜めの線で4版を使用した樹木の表現が特徴である鈴木氏の小作品が並びます。

写真:右壁面の展示状況。

右壁面の展示作品

 

 

 

 

 

右側棚の展示作品

樹木の表現が特徴である鈴木氏のハガキサイズの小作品がアクリル衝立のケースに入り展示されています。

 

 

 

 

 

正面壁面の展示作品

鈴木氏の作品は、「縦・横・斜め線の4版の交差で樹木を表現した技法」が特徴ですが、それ以前の貴重な作品も拝見しました。

写真:「リ・ライフギャラリー」のボード式展示壁も新鮮。

 

 

 

 

 

 

 

 

左側棚の展示作品

 

左側壁面の展示作品と鈴木氏プロフィール

 

写真:(左下)鈴木氏プロフィール。

 

左側壁面の展示作品

 

 

 

 

小作品展示状況(後期)

・・・前期の遺作品に続き、台風7号を過ぎ去るのを待ち猛暑ながら、後期の展示作品を拝見しました。

正面壁面の展示作品他

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

版木を公開、触れ合いOK!

・・・生前の遺作品のほか版木が展示されており、さらに版木を手で触れることもOKです。

鈴木氏の版画作品の特徴は、縦・横・左斜め・右斜め4版の交差から濃淡を作り、樹木を表現する方法です。

加えて、版木の触れ合いOK!、今回の小作品展最大の特徴、貴重な体験ができます。

作品、例1

<縦の凸版>

 

<横の凸版>

 

<右斜めの凸版>

 

<左斜めの凸版>

 

作品、例2

背景のマチエールづくりにも縦・横・左斜め・右斜4版の交差から試作されています。

尋常ではない忍耐と辛抱、版木4版による驚きのマチエールづくり。

鈴木氏自身は、この作業そのものがむしろ心地良かったのでは?と、かってに想像してしまいました。

写真:4版による、驚きのマチエールづくり。

 

木版画小品展のまとめ

・・・生前の遺作品のほか版木が遺されており、さらに遺品の版木を手で触れることもOKとの事でした。

鈴木氏が木版画普及に尽力されていた生前の姿を遺族の方が受け止めていただき、

少しでも木版画普及に役立てようとする意志を引き継いだものと解釈し、ありがたく手に取り拝見しました。

鈴木先生には生前お会いすることはありませんでしたが、版木を手に取り一版づつ拝見していましたら、

鈴木先生がすぐ隣で版木の制作について、説明されているような気がしました。

 

木版画の世界展

・・・「木版画の世界展」は、JRおおぶ駅から徒歩7分程度の大府市歴史民俗資料館1Fにて展示中です。

写真:「木版画の世界展」の小冊子。

上記の小冊子に掲載の作品は、すべて下記「木版画の世界展」に記載してあります。

大府市歴史民俗資料館1F

・・・同市歴史民俗資料館入口に「木版画の世界」の看板と生前のインタビュー録画が常時放映されています。

写真:(左)同市歴史民俗資料館入口、(右)インタビュー録画。

 

木版画の世界展

写真:展示会場入り口、大府市歴史民俗資料館

 

版画作品と版木の展示

 

展示作品紹介

・・・鈴木氏の木版画作品の特徴である「樹木を主題とした作品」が展示されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木幹二氏の画歴など

版画作品の制作風景

鈴木幹二氏の画歴など

  • 大正10年(1921) 朝鮮京城生まれ。
  • 昭和13年(1938) 東京高等師範学校理科二部入学。
  • 昭和16年(1941) 結核のため大学中退。
  •  同年                    鎌倉にて療養中に画学校に通う。
  • 昭和18年(1943) 愛知県立大府荘に就職。
  • 昭和22年(1947) 木版画制作をはじめる。
  • 昭和23年(1948) 結婚後、結核再発のため入院。
  •  同年       入院中に謄写版印刷、孔版印刷を始める。
  • 昭和26年(1951)  退院後、大府荘に復職。
  • 昭和30年(1955)  日本版画協会展、国画展、水彩協会展出展
  • 昭和33年(1958)  国画展(32回)新人賞。
  • 昭和34年(1959)  日本版画協会会員。
  • 昭和35年(1960)~ノースウェスト国際版画展(シアトル)、クラコフ国際版画ビエンナーレ、その他ワシントン、ニュウーヨーク、ボストン、ユーゴ、イスラエル、フィリピンなど海外の版画展に出品。
  • 昭和36年(1961)愛知県美術館にて第1回「版画五人展」(佃政      道・岩田覚太郎・佐藤宏・木下富雄・鈴木幹二)。
  • 昭和62年(1987)以降「版画五人展」平成14年(2002)迄出展。
  • 昭和40年(1965) 国画会会員
  • 昭和48年(1973)~朝日文化センター版画教室講師。
  • 昭和53年(1978) 国立療養所中部病院退職。
  • 昭和54年(1979) 秋より「樹」シリーズをはじめる
  •  同年       地元公民館にて版画教室講師(大府市・東海市・阿久比町など)。
  • 平成15年(2003) 7月12日、82歳にて永眠。
  • その他:個展、二人展、三人展、グループ展など多数。
  • 作品収蔵:ニューヨーク近代美術館、シカゴ美術館、愛知県美術館など。

鈴木氏 が愛用した彫刻刀・刷毛・バレン

年賀状

五人展と小作品

・・・当初の「版画五人展」から版画愛好家の人気を博した「版画五人集」。

現在名称を「版画伍人展」として引き続き活動しており、一部を紹介します。

五人展の作品集、「版画五人集」

写真:黄色は、作品集の収録カバー。

作品集に収録する小作品

写真:「版画五人集」に収録された小作品。

 

現在の「版画伍人展」

・・・当初の「版画五人展」から版画愛好家の人気を博した「版画五人集」は、名称を「版画伍人展」として活動しています。

「版画伍人集」

2020年、第60回版画伍人展に於いて「版画伍人集」を制作しましたので、参考に掲載します。

写真:2020年(令和2年)、第60回「版画伍人集」。

杉藤万里子

鈴木孝太朗

羽田野豊子

藤崎増男

吉川房子

米倉泰民

<ご参考>版画伍人展「版画伍人展」愛知県美術館で開催。代表の鈴木孝太朗氏が急逝、第60回【版画伍人集】作品紹介。

木版画の世界展のまとめ

・・・同市歴史民俗資料館入口に「木版画の世界」の看板と生前の同氏の工房でのインタビュー録画が常時放映されています。

その中で印象的だったのは、インタビューアーから「樹」シリーズをはじめるきっかけは?の質問の答えでした。

「しばらく抽象画の作品を制作していましたが、だんだん行き詰まりを感じて来ました。

そんな中、自然の大地に根を張る樹木の安定した姿に惹かれたのが切っ掛けでした」回答されました。

まさに作品を創作する作家にとっての悩みに共感し、同時に飾らない正直な人柄に親近感を覚えました。

工房の中での録画で気づいたことですが、工房の棚には作品と版木が整然と並べられていました。

版画作品制作において、整理整頓は大いに参考になり反省しました。

今回の展示会場の提供にご尽力・ご案内をいただきました成田先生・現在版画教室の講師畑先生に厚く感謝申し上げます。

後期の展示会場でお会いできた森岡先生そして角島牧子さま(鈴木先生のご遺族)に心から感謝申し上げます。

最後までご覧いただき有り難うございました。