・・・現在、第27回火曜会木版画展(2022/10/18~10/23)に向け、展示作品制作中です。
今回、過去の暑中見舞いから蔵書票の制作にトライし、気づいた点などを記事にしました。
今後、暑中見舞いから小作品・蔵書票の制作などヒントや参考になれば幸いです。
木版画教室②暑中見舞いから小作品・蔵書票
(その1)過去の暑中見舞いから小作品へ
・・・今回、過去の暑中見舞いの作品「芙蓉」を小作品にできないかトライしました。
さらに、その小作品を蔵書票へトライし、そのヒント・制作過程を記事にしました。
酔芙蓉
芙蓉の仲間で毎年9月~10月にかけ開花します。
朝に白い花を咲かせ、夕暮れになると薄赤く変色し、その後しおれてしまいます。
まるで酒に酔った人のようで、その名がついています。
酔芙蓉(白から薄赤に変わる)を題材にしました。
過去の暑中見舞い、芙蓉から小作品の酔芙蓉へ
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_064024788-300x232.jpg)
ヒント
1,白く咲いた後、夕暮れに向かい薄赤に変わったところを作品にする。
2,バックの背景と文字は省略し、薄赤に変色した花を目立たせる。
制作工程
過去の作品の版木が保管されている場合、彫りの作業が省略されます。
暑中見舞い「芙蓉」の版木も保管されていましたので、彫りの作業がなくラッキーでした。
1.酔芙蓉(一版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_101555236-300x235.jpg)
ヒント
1,過去の暑中見舞いの背景と文字を除き、酔芙蓉の小作品を作成します。
2,酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
2.酔芙蓉(二版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_102335314-300x237.jpg)
ヒント
二版目ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3.酔芙蓉(三版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_102133411-300x212.jpg)
ヒント
茎の部分ですが、あくまでも酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
茎の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
4,小作品「酔芙蓉」の完成
ハガキサイズの小作品「酔芙蓉」、落款を左下に押し完成です。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_005556570-193x300.jpg)
(その2)小作品から暑中見舞いへ
・・・(その1)小作品「酔芙蓉」から色違いの暑中見舞いにできないかトライしました。
(その1)小作品「酔芙蓉」
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_005556570-193x300.jpg)
(その2)色違いの暑中見舞い
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240721_055408457-203x300.jpg)
制作過程(色違いの暑中見舞い)
制作過程においてデザイン・彫りは、前述(その1)と同様なので省略し、ここでは摺りの過程を紹介します。
摺り1、芙蓉の花びら
花びらは出来るだけ絵具を薄く溶き、重ね刷りを前提とします。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240716_083035080-300x233.jpg)
摺り2、芙蓉の茎
茎は、花びらより濃い色彩にします。細いので摺り漏れのないように注意します
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240716_083228876-300x233.jpg)
摺り3、芙蓉の影の部分
陰の部分は、花びら茎より濃い目の色彩にします。作品にメリハリをつけるため、影はしっかり彫ります。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240716_082119242-300x241.jpg)
摺り1~3の状態
全体のバランス摺り漏れ汚れ等ないかを確認します。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240716_082227832-300x149.jpg)
文字(なつ)と落款
文字(なつ)は、花びらの色彩(ターコイスブルー)を薄めない状態です。
最後の落款は、押し間違い(向き・ずれ等)を防ぐため透明定規の使用をお勧めします。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20240721_015706972-300x142.jpg)
小作品から蔵書票へ
・・・上記、過去の暑中見舞いから小作品を作成し、さらに、酔芙蓉を蔵書票とします。
小作品から蔵書票にトライし、そのヒント・制作過程を記事にしました。
小作品からさらに蔵書票へ
ヒント
1,前述、酔芙蓉の小作品から蔵書票を作成します。
2,酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3,蔵書票なのでサイズをカットする。カットは花の下部分で花の先端は残す。
4,サイズをカットしますが、版木はカットしません。
摺らない部分をカバーし絵具を塗らないことで対応します。
5,EXLIBRISとNAMEの位置及びスタイルを検討する。色は全体のバランスを考える。
制作過程、
1,酔芙蓉の下部を覆う
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_052421824-300x238.jpg)
酔芙蓉の下方の摺らない部分には、和紙でカバーをかけます。
和紙は、ハサミで簡単にカットできるのでおすすめです。絵具で弱ってきたら取り替えも手軽です。
2.酔芙蓉の上部を摺る(一版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_052655160-300x213.jpg)
酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3.酔芙蓉の上部を摺る(二版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_052924289-300x250.jpg)
二版目ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
4,酔芙蓉の茎上部を摺る(三版目)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_053917993-300x243.jpg)
茎の部分ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
茎の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
5,EXLIBRISとNEMEを彫る
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_054253825-300x213.jpg)
通常直線に蔵書票と名前を入れますが、作品と文字を合わせ、全体のサイズを抑える。
酔芙蓉の雰囲気を壊さないことを勘案し、酔芙蓉を囲むように八の字の曲線にデザインしました。
EXLIBRISと名前の部分ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
文字の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
6,蔵書票の完成
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220912_061644523-300x185.jpg)
蔵書票の作品交換会
・・・蔵書票作品の交換会仕様について、先ず完成品をご覧ください。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_053820816-300x223.jpg)
ヒント
1.蔵書票の作品は本に貼る前提があります。
よって交換会の作品を貼る台紙は、はがき大となります。
2.版画作品なので、ハガキ大の紙をくり抜いて紙マットを作ります。
3.はがき大の紙マットは、めくれるように上部を台紙に接着(テープ又はノリ)します。
制作過程
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_044649245-1-300x199.jpg)
1.用意する物
台紙になるハガキ大の紙とマットの役目をする紙を用意します。
大きな画用紙をハガキ大にカットしても良いですが、百均のハガキ(55枚・白)でも十分です。
2.事前作業
あらかじめ、マットの役目をする紙を作品大にくり抜く作業をします。
3.台紙とマットを合わせる
台紙とマット紙の上部を、テープ又はノリで貼り付けます。
3-1.テープで合わせる。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_043822354-300x111.jpg)
3-2.ノリで合わせる。![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_051445011-300x178.jpg)
4.作品の位置の調整
作品を台紙とマット紙で挟む作品上部の位置を、カットしながら合わせます。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_044043657-300x107.jpg)
作品を台紙とマット紙に挟んだ後、くり抜いたマット紙に対し、作品の位置を調節します。
5.作品下部をカット
台紙とマット紙に挟み、はみ出した部分をカットします。
はみ出した和紙は、マット紙の上から定規で押さえて固定しカットします。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220914_052454205-300x256.jpg)
6.「作品交換会」へ蔵書票完成
台紙とマット紙の接着は、テープとノリどちらでも構いません。
写真左は作者自身用、写真右側はYOURNAME(君の名は)=書籍所有者の名前です。
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220918_030151815-300x209.jpg)
木版画教室②のまとめ
その1、ヒント・制作過程
・・・今回、「酔芙蓉」を題材にした暑中見舞いから小作品・色違いの暑中見舞い、蔵書票の制作過程・ヒントなど記事にしました。
そう考えると、暑中見舞いに限らず、年賀状とか過去の作品の中に、
その時は気づかなかった、新たな作品のヒントが隠れている可能性があるかもしれません。
絶えず新しい作品を求めて、自分をが追い詰めすぎると、好きな木版画がストレスになっては本末転倒です。
マットトリミング法など使い、過去の作品を展開できないか考えながら、
自分なりの工夫で、木版画を続けたいと思います。作品交換会の記事も参考になれば幸いです。
(その2)酔芙蓉、情報メモ
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220913_075414374-300x231.jpg)
![](https://www.fujisaki758.com/wp-content/uploads/2022/09/PXL_20220913_075526475.PORTRAIT-300x226.jpg)
基本情報
原産は中国や日本で、花色は白・ピンク・濃いピンクへ変わるのが特徴です。
花言葉
「しとやかな恋人」「繊細な美」「心変わり」「幸せの再来」です。
このうち、「心変わり」を除いた花言葉は、芙蓉の花言葉でもあります。ネット情報。
最後まで読んでいただきありがとうございました。