・・・朝日カルチャーセンター木版画教室を構成する仲間が今年11月開催の「火曜会木版画展」展示作品を制作中です。
小生の出展作品の制作過程を記事にしました。木版画愛好家の方々に参考になれば幸です。
- 開催期間:2023/11/21~11/26。
- 開催場所:名古屋市民ギャラリー栄8F第10展示室。
- 開催時間:AM9:30~PM6:00(最終日PM5:00)。
- 特別展示:向井久美子さん作品「夕焼けの大地」
*今回、健康上の都合により退会なさった向井久美子さん作品「夕焼けの大地」を特別展示します。
木版画教室⑤
・・・木版画教室の活動として、今年の第28回の火曜会木版画展に向け、作品制作中です。
毎年の「火曜会木版画展」の開催により、お互いに刺激し合い木版画の技術向上に努めています。
展示会の構成は、教室での作品交換会作品・課題作品・展示作品・小作品(蔵書票・年賀状・暑中見舞い)です。
課題作品、制作過程
・・・今年の課題作品の制作工程です。
作品の題名は、「ピーマン」です。種類・色彩ともバラエティーに富んだ野菜です。
課題作品は、各自の解釈により毎年ユニークな作品が展示されます。今年も展示会が楽しみです。
デザイン、ピーマン1.
・・・ピーマンを立たせ、真ん中から縦にカットしてみました。
カットした断面を基にピーマンの中の構造をデフォルトしながら白黒で仕分けしました。
仕分けした断面の濃淡を彫刻刀の直線(水平・斜め)彫りで表現しました。
<ポイント>
- 彫刻刀は、三角刀(主に横線)と丸刀(斜め)を使いました。
- 真ん中の芯は斜線でメリハリ(中心は二度刷り)を付けました。
- ピーマンの外環は、濃く表現するため二度刷りをしました。
デザイン、ピーマン2(黒).
・・・縦にカットしたピーマン1.と同じ外観を黒一色で表現しました。
黒一色のピーマン2(黒+白枠).
版木は摺ると和紙上の画面は反転するのでヘタは逆向き(右向き)で彫ります。
黒の輪郭は白の輪郭で囲む
黒の輪郭で表したピーマンの周りを白の不定期な輪郭で囲みました。
<ポイント>
- 黒いピーマン2.を囲む白の輪郭は不定期にする。黒単色より、メリハリがつき面白い。
- 二作品を並べた時、ピーマン2.を摺った後のヘタは左向きになっています。
デザイン、ピーマン3.
・・・課題作品の展示スタイルとして、ピーマン1.とピーマン2.を横に並べてみました。
<ポイント>
- ピーマン1(左)、ピーマン2(右)に配置し、ヘタが向かい合わせとなり一体感を出します。
- 二つの作品をガクブチ中央で貼り合わせます(両面テープ等使用)。
- なお両方の作品は水張り済(和紙の厚さ・乾燥具合等、同じ状態が重要です)。
二作品(ピーマン1・2)を合わせる
・・・二つの作品をつなぎ合わせる方法は、ノリで貼るなどいくつかあると思いますが、
ここでは両面テープでつなぐ方法を、写真とともに説明します。
1.片側の作品裏に両面テープを貼る
<二つの作品をつなぎ合わせる準備作業>
- 二作品を合わせ、右側作品のカットする位置を決めます。
- カットする側の作品を反転し、決めた位置をカットします。
- 反転した作品の接着部分に両面テープを貼ります。
2.二つの作品を貼り合わせる
<二つの作品をつなぎ合わせる作業手順>
- 貼り合わせる位置がずれないように、片方(左側作品)を固定します。
- 貼り合わせる側(右側作品)の上側と右端にストッパー(和紙・定規)を貼ります。
- 貼り合わる側(右側作品)の両面テープのカバーをはがします。
- 右側作品をストッパーに合わせ左側作品にかぶせる形で貼り付けます。
作品、ピーマン3.の完成
- 統一の額(A4サイズ)の黒枠の額に収め、額装は完成です。
展示会作品、制作過程
・・・来る11月「第28回火耀会木版画展」展示作品の制作過程を記事にしました。
デザイン、ヒント
作品のヒント1.
作品の造りのヒントとしまして、今年伍人店で展示しました作品、「丹・端」-1~3.です。
左から「丹・端」-1、「丹・端」-2、「丹・端」-3の作品。
作品のヒント2.
前述作品のヒント2(中央).から下記3点に展開しました。結果、右端の作品をベース作品に選びました。
- 左端:作品の下部中央に小さな縦長の四角を入れることにより、窮屈感から解放。
- 中央:作品の右下部に縦長の空間を作り、作品全体にバランスをとる。
- 右端:意外性もあるが、作品の右下部に正方形の空間を作り(または白を配色)面白い作品になります。
ベース、デザイン
ヒント2(右端作品).をベースに下記3点(1~3)展開を試みました。
1.ベースデザイン
更に2点加えたデザインに展開
・・・ベースデザインを基にしたて、さらに下記2点(2・3)を展開しました。
2.ベースデザインを白黒
ベースデザインを白黒とし、更に右下角に茶系の四角を入れました。
白黒のデザインに作品右下の四角い茶系がマッチしていると思いました。
額装する前の水張り状態
3.ベースデザイン+オリーブグリーン
ベースデザインの丹色のトップに三角を入れ、一部をオリーブグリーンを入れる。
丹色のトップに三角とオリーブグリーンの色合いがマッチし、心地よい。
作品中央(築地塀部分)を準備する
- 版木と同じサイズにマットをカットし、築地塀柄の位置に穴を開ける。
- 穴と同じサイズの版木(=築地塀柄)を3種類作成する。マットの穴・マチエール・築地塀柄を用意する。
- 築地塀柄は、版木の両面を使う。裏=(瓦)と表=瓦の外環を彫る。
築地塀模様を摺る段階
下記3点完成
題名は、人の集合を感じさせることから「十人十色」を予定しています。
小作品
・・・小作品として、蔵書票・年賀状・暑中見舞いの三点を展示します。
蔵書票
・・・デザインは、今年の課題作品のピーマンとしました。
デザインと彫り
・・・(左)デザイン、ピーマンの外見を黒の太い線でデフォルトしました。(右)は彫りの状況です。
摺り
・・・右の版木に黒一色、左に摺の結果です。
蔵書票、交換会仕様
・・・木版画教室の仲間と交換会の仕様として、ハガキサイズの台紙に蔵書票を添付、下部に作者名を表示します。
年賀状・暑中見舞い
2023年、年賀状
2023年、暑中見舞い
小作品(蔵書票・年賀状・暑中見舞い)
・・・展示スタイルは現在調整中です。
木版画教室⑤のまとめ
・・・今年の火耀会展の課題作品の題名は「ピーマン」。種類・色彩ともバラエティーに富む野菜でした。
どのように版画作品に仕上げるか腕の見せ所です。展示会でいろんな作品に出合えるのが楽しみです。
又今回「火曜会木版画展」は特別展示として、同教室の仲間であった向井久美子さんの「夕焼けの大地」が展示されます。
旧満州からの引揚げ模様の手記と木版画をコラボした画文集「夕焼けの大地」は重版を続け、
その手記と木版画作品は、実体験からくる戦争の現状・悲惨さを伝え続け見る人の心を打ちます。
「第28回火曜会木版画展」にお出かけいただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、有り難うございました。