アート

国際芸術祭「あいち2022」会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)。

 

・・・国際芸術祭「あいち2022」STILLALIVEが、下記のごとく7月30日~10月10日まで開催されます。

サブタイトル:今を生き抜くアートのちから。

当ブログ運営者が、「愛知県美術館友の会」の会員にて情報を入手しましたので記事にしました。

詳細記事として、後日発行の新聞記事も追加記載しました。

事前に同展示会の概要をご覧いただき、鑑賞の一助となれば幸いです。

国際芸術祭「あいち2022」概要

  • 会期2022年7月30日~10月10日/月・祝[73日間]。
  • 芸術監督:片岡真実(森美術館館長、国際美術会議CIMAM会長)。
  • 主な会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)。
  • 主宰:国際芸術祭「あいち」組織委員会。

詳細記事

愛知県内を会場に、3年に1度開かれる国際芸術祭「あいち2022」が、30日に開催されます。

芸術監督は、同県出身で森美術館(東京)館長の片岡真実さんです。

過去4回開かれた「あいちトリエンナーレ」を引き継ぐ形で、運営体制が一新されました。

今回は、32ヶ国・地域から100組の芸術家が参加します。4か所に分かれた会場の特徴とおもな見どころを紹介します。(7月15日付、中日新聞)。

国際芸術祭「あいち2022」:主な会場

・・・国際芸術祭「あいち2022」の主な会場は、愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)です。

愛知芸術文化センター

・・・国内外の20世紀美術を中心に充実した作品を所蔵する愛知県美術館

大ホール、コンサートホール、小ホール、リハーサル室などを有する愛知県芸術劇場

アートスペース、アートライブラリー、アートプラザで構成される愛知県文化情報センターからなる総合文化施設です。

愛知県の文化芸術の拠点として、名古屋市の中心部に1992年開館しました。

詳細記事(1)

<VRで月の世界へ>
Photo:Michael Pollard、(7月15日付、中日新聞)。

現代美術展の会場・愛知県美術館(名古屋市・栄)で出迎えるのは、

大泉和文さん=同県による稼働橋とステージからなる大型インスタレーション(空間芸術)。

ローリー・アンダーソンさん=米国=と黄心健さん=台湾=は、人類の月探検を題材に、

映像や音楽と仮想現実(VR)体験を組み合わせた作品「トゥー・ザ・ムーン」(2019年)=写真を出展します。

 

<多彩な舞台・体験型>
写真:今井智景さんの上演作に登場する映像の一場面、(7月15日付、中日新聞)。

パフォーミングアーツは、最新テクノロジーを取り入れた表現形式の追及やコロナ禍で突き付けられた生のあり方を問うものなど多彩なラインアップ。

作曲家今井智景さん=愛知県=は、同県豊橋市魚町に伝わる古い能面に現代音楽や写真、映像を組み合わせた舞台作品を演出。

ダンサー中村葵さん=東京都=古典バレー「ジゼル」を一人で踊るダンス作品に昇華する。

現代美術展にも参加する百瀬文さん=同=は、ケアする者とされる者の境界を揺さぶる体験型パフォーマンスを実施。

このほか名古屋市芸術創造センター(東区)では、現代音楽の巨匠スティーブ・ライヒさん=米国=の楽曲五曲が味わえる。(7月15日付、中日新聞)。

詳細記事(2)

写真:機械が並ぶ工場で映像を撮影した潘逸舟さん。=西尾市緑町で=。

 

陶磁器とともに、近代以降の愛知県の産業を支えてきたのが繊維産業。

愛知芸術文化センター(名古屋・栄)で出展している潘逸舟(ばんいしゅ)さん(34)=東京都=の作品は、映像の中で工場の糸くずが軽やかに舞う。

同県西尾市の創業百年以上という帯芯工場で撮影。織機や床に積もった糸くずを、工場にまつわる無数の記憶に例えた

「(糸くずは)もう機械にかけられず、出荷されることもない。

浮遊しながら居場所を探しているようでした」と藩さん。

あいち2022は10月10日まで。愛知芸術文化センターは月曜休み、(2022/8/12日、中日新聞)。

一宮エリア

・・・国際芸術祭「あいち2022」の会場一宮市。

三河駅構内

写真(2022/8/4):三河一宮駅構内、STILE ALIVE。

 

写真:(2022/8/4):尾州織物子どもワークショップ。

138のカラフル生き物図鑑、エキナカパレード。

愛知県の北西部に位置する人口38万人の尾張地方の中核市です。

尾張国の「一宮」が真清田神社であったことから、その門前町であるこの地域が「いちのみや」とよばれるようになりました。

江戸時代より綿織物の生産が盛んとなり、絹綿交織物の生産を経て、毛織物(ウール)生産へと転換、繊維の街「一宮」となりました。

一宮駅周辺のオリナス一宮、旧一宮市立中央看護専門学校などの他、

県内唯一の丹下健三建築である、一宮尾西生涯学習センター墨会館を始めとした尾西エリアで展示予定です。

詳細記事(1)

 一宮市役所では、繊維研究家でもある造形家眞田岳彦さん=東京都=が、

繊維生産が盛んな愛知の土地柄から着想した造形作品「あいちNAUプロジェックト<白維>」を先行公開中=写真。

写真:作品「白維」、一宮市役所で先行公開中(7月15日付、中日新聞)。
写真:中央、のこぎり二。右端、一宮市役所。

 

<羊毛の縄手仕事で>

一宮市は10か所で展示。建築家・丹下健三さん(1913~2005年)が設計した尾西生涯学習センター墨会館や、

地場産業の毛織物工業を象徴するのこぎり屋根の旧工場・のこぎり二など、建物も見どころです。

写真:自然光を取り入れる毛織物の工場や織機などを融合させた塩田千春さんの新作、「糸をたどって」(2022/7/31、中日新聞)。
<尾州産地とは>

地域は、一宮を中心に北は各務原・西は羽島・東は江南・南は名古屋北部までの範囲です。

イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドとならぶ、世界三大毛織物産地の一つです。

 

詳細記事(2)

写真:映像と立体を組み合わせた石黒健一さんの作品=一宮市松降の旧市立中央看護専門学校で。

 

一宮市の旧市立中央看護専門学校で展示されている石黒健一さん(35)=京都府=の映像と立体を組み合わせた作品は、工業化のもたらした光と影を考えさせられる。

映像で取り上げたのは、繊維産業での様んな同市で発展した喫茶店の「モーニング」文化

その手前には、市内にかってあったイチガシの巨木の切株を、工業製品のように3Dプリンターで復元した。

木は産業発展による環境の悪化などで、近年切り倒されたという。

「産業が移ろいゆく中で、失われてしまった存在に思いをはせる意味を込めた」と語る。

あいち2022は10月10日まで。一宮市会場は月曜休み。(2022/8/12日、中日新聞)。

繊維産業の街一宮・喫茶店の「モーニング」文化

ご参考:二人展(パステル・水彩・木版画)画廊喫茶 四季。繊維の街一宮市。モーニングサービスと愛知県。

 

常滑エリア

・・・常滑市は知多半島の中央、西海岸に位置する人口約6万人の市です。

平安時代末期頃から「古常滑」と呼ばれる焼き物の産地として知られ、瀬戸、設樂、越前、丹波、備前と並び、日本遺産に認定された日本六古窯の一つです。

江戸時代以降は急須、明治時代からは土管、タイルなど時代に合わせた焼き物を生産し、現在までも窯業は主産業となっています。

昭和初期の風情を随所に残す「やきもの散歩道」を中心に、旧製陶所や廻船問屋瀧田家、INAXライブミュージアムなどで展示予定です。

詳細記事(1)

 

写真:フロレンシア・サディールさんとインスタレーション作品「泥の雨」。

 

写真:旧青木制作、インスタレーション作品「泥の雨」。

<土の文化から想起>

「日本六古窯」の一つで中世から焼き物の産地として栄えてきた常滑市では、十二組の作家が出展。

旧製陶所が集まる「やきもの散歩道」周辺を舞台に、土とともに歩んできた歴史や文化から想起された作品を並べる。

南米アルゼンチン出身の若手美術家フロレンシア・サディールさん=写真=は、

「旧青木製陶所」の空間を用いて、球状の焼き物を作ったインスタレーション作品「泥の雨」を展示。

焼き上げる過程で生じた杯も表現に取り込み、自然素材が作品になっていくまでの記憶を浮かび上がらせる。

詳細記事(2)

写真:陶製人形を題材にした田村友一郎さんの映像インスタレーション作品。

 

かって製陶所の倉庫として使われていたカフェギャラリー「常々」。二階の薄暗い空間に、三つの映像パネルが並ぶ。

画面には人形浄瑠璃の人形遣いである黒子の恰好をした男たちが一人ずつ映し出され、何かを論じ合っている。

名古屋芸術大准教授である現代美術家の田村雄一郎さん(44)による映像を使ったインスタレーション(空間芸術)。

昭和20~40年代に、常滑市と同県瀬戸市で盛んに生産されたノベルティーと陶製人形を題材にしている。

会場を人形浄瑠璃の舞台に見立て、アダム・スミスら有名な経済学者三人が黒子として、

ノベルティー生産の衰退を決定づけたある事件を操るという設定だ。

「地域の素材から、どこまで大きなテーマに飛んでいけるか挑戦したかったと」と話す。

あいち2022は10月10日まで。常滑市会場は水曜休み。(2022/8/12日、中日新聞)。

 

有松エリア(名古屋市)

・・・名古屋市南東部に位置し、慶長13年(1608年)、尾張藩により開かれた東海道沿いのまちです。

有松・鳴海絞の製造・販売により発展し、現在も江戸時代の浮世絵さながらの景観が東海道沿いに広がっており、

有松、鳴海絞のほか、街並みや山車などの伝統的な文化を今に伝えています。

名古屋市「町並み保存地区」、国「重要伝統的建造物群保存地区」、文化庁「日本遺産」。

東海通沿いの歴史的な建造物や、工房などで展示予定です。

詳細記事

写真:定期的に集まって作品作りをする宮田明日鹿さん(左)と「有松手芸部」。(7月15日付、中日新聞)。

 

写真:十二か所で作品を展示。

<手芸作業も「作品」>

名古屋市有松地区では、東海道の沿いの歴史的な町並みを中心に、十二か所で作品が見られる。

ニット・テキスタイルアーティストミヤタ明日鹿さん=三重県鈴鹿市=は、江戸期の遺構が残る旧加藤呉服店で展示。

彼女の作品の一環で、地元住民らが寄り合って手芸をするプロジェクト「有松手芸部」が、会期中に制作を続けます。

宮田さんは「手芸は社会で女性の置かれた状況を映し出す。展示は家の中で完結していたことをそとに出す実践」と話します。

 

会場へのアクセス

愛知県(名古屋駅)までの主なアクセス

電車で。

東京から:東京駅→JR東海道新幹線(のぞみ)約1時間40分→名古屋駅。

大阪から:新大阪駅→JR東海新幹線(のぞみ)約50分→名古屋駅。

飛行機で。

中部国際空港セントレア→名古屋鉄道(ミュースカイ)約28分→名鉄名古屋駅。

*常滑会場へは、中部国際空港セントレア→名古屋鉄道常滑線/特急約5分→常滑駅。

県営名古屋空港→あいおい交通空港バス約30分→名古屋駅。

名古屋駅から各地区へのアクセス

一宮市へ。

名古屋駅→名古屋鉄道名古屋本線/特急約14分→一宮駅

名古屋駅→JR東海道本線/新快速約9分→尾張一宮駅

常滑市へ。

名鉄名古屋駅→名古屋鉄道常滑駅/特急約35分→常滑駅

有松地区(名古屋市)へ。

名鉄名古屋駅→名古屋鉄道名古屋本線/約30分→有松駅

チケット、インフォメーション

フリーパス

会期中、記名ご本人に限り各会場を何回でもご覧いただけます。

1DAYパス

入場当日に限り、各会場を何回でもご覧いただけます。

1DAYパスからフリーパスへアップグレード

会期中、一定金額(一般1200円、学生800円)をお支払いいただくことで、1DAYパスからフリーパスへアップグレードが出来ます。

チケット詳細

券種 入場者 前売り券(4/1~7/29) 会期中販売券
フリーパス 一般 ¥2,500 ¥3,000
Passport 学生(高校生以上) ¥1,700 ¥2,000
1DAYパス 一版 ¥1,500 ¥1,800
One Day Pass 学生(高校生以上) ¥1,000 ¥1,200
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付き添い者1名は無料です。
  • 学生区分摘要の場合、チケット確認時に学生証の提示が必要です。
  • 学校向け団体鑑賞プログラムで来場される場合、学生及び引率者は無料です。(要事前申込)
  • パフォーミングアーツについては、別途チケットが必要です。

 

国際芸術祭「あいち2022」のまとめ

国際芸術祭「あいち2022」特別鑑賞会

・・・国際芸術祭「あいち2022」開催中の、友の会事業について下記の鑑賞会を企画中です(愛知県美術館友の会)。

会場:アートスペース(愛知芸術文化センター12F)。

日時:2022年8月25日(木)。

  • 昼の部 10:30~11:30。
  • 夜の部 17:30~19:00(10F展示室にて各自での鑑賞時間を含む)。

その他会場

一宮市・常滑市・有松地区(名古屋市)の各会場についても、企画中です。

詳細が決まり次第お報せします。お楽しみに!!

*愛知県美術館友の会の入会手続きは愛知県美術館でお得な年間パスポートの購入方法と詳細。愛知県美術館、展示会情報。を参照ください。

国際芸術祭「あいち2022」のまとめ記事(1)

・・・「あいち2022」を総括する新聞記事が参考になると判断し、あえてまとめ(1・2)に追加記載しました。

出展作家の顔ぶれからは、人種や民族、ジェンダーといった多様性を重視した企画側の狙いが伝わる。

日本と欧米だけでなく、これまで美術史の潮流から語られることが少なかったアジアやアフリカなどを含め、五大陸すべてから選びました。

専門家や美術教育による枠にはまらない「アールブリュット」の作家も取り上げました。

芸術祭のテーマは「STILL ALIVE(スチルアライブ)今、を生き抜くアートのちから」。

愛知県苅谷市出身の世界的な現代美術家・河原温さん(1932~2014年)が、自身の生涯を知らせるために発信し続けた電報の作品シリーズ「I Am Still Alive」が、もとになっている。

現代の作家たちがそれぞれこのテーマをどう解釈したのかに、注目したい。

会場はいずれも伝統工芸や地場産業でよく知られる地域です。

「織物のまち」の一宮市、陶磁器産業が盛んな常滑市、「有松絞」の産地・名古屋市有松地区。

地元の文化の魅力を、作品を通じて再確認する機会にもなるでしょう(7月15日付、中日新聞)。

国際芸術祭「あいち2022」のまとめ記事(2)

・・・30日に開幕する「現代アートの祭典「国際芸術祭(あいち2022)」。

3年前の「国際芸術祭(あいちトリエンナーレ2019」から名称や組織体制などを一新

過去からの連続性を保ちつつ、新たなスタートを切る。

「全く違う体制、新しい芸術監督、新しいテーマで開催するので、3年前の事を何か引きずっていることはない」。

開幕を目前にした29日の記者会見で組織委員会の大林剛郎会長がこう説明した。

片岡真実芸術監督も「全く新しい機会をいただいたと思っている」と強調しました。

「あいちトリエンナーレ2019」の閉幕後、県が設置した外部識者による検討委員会は、実行委の会長を知事が務めていた状況を、

「検閲にあたるリスクを考えると芸術監督への管理監督には限界がある」などと指摘し、会長に民間人起用を提案しました。

県は、従来の運営を見直し民間から人材を登用する組織委員会を設立。

トップにはゼネコン大手・大林組の大林会長が就き、名称も変更されました。

大村秀章知事は26日の記者会見で、「予算を出しても口は出さないと言うことでやってきたが、今回はより分かりやすくしたと思う」と評価。

「あいちトリエンナーレ2019」の実行委会長代理だった名古屋市の河村たかし市長は、

「名古屋は無関係だが、会場など協力することはする。できる限り成功していただくとええです」と話しました。

「表現の不自由展・その後」の騒動をきっかけに、国際芸術祭ではどんな作品を展示するのがふさわしいのかなど、長く議論が続いてきました。

前回をどうふまえたのかを問われた片岡監督は「(今回の展示が)応答だと考えていただければ」と話しました。(7月30日付、中日新聞)。

今後も、愛知芸術文化センター・一宮市・常滑市・有松地区(名古屋市)における情報など、都度追加しています。

有松地区の近くに住んでいる者として、「あいち2022」を身近に感じ、これからも多くの展示作品を観賞していきます。

最後までご覧いただき有り難うございました。