アート

第78回水彩協会展:作品紹介、水彩・版画・素描

 

・・・例年開催される「水彩協会展」が、2024年2月20日~25日まで開かれています。

尚、本第78回展の前に開かれた「水彩協会のあゆみ展」が開催されました。

<ご参考>水彩協会のあゆみ展、展示作品

第78回水彩協会展

愛知県美術館ギャラリー8F(A/B/C/D)

  • 展示内容:水彩・版画
  • 開催場所:ギャラリー(A~D)、名古屋市東区東桜1丁目13-2。TEL052-971-5511
  • アクセス:地下鉄東山線・栄。
  • 開催時間: AM10:00~PM6:00(最終日はPM4:00迄)。

作品紹介、水彩の部

水彩部門:作品一部紹介。

委員、尾中 真理

委員、小沢 一

Landscape

委員、坂本冴子

時の記憶

委員、堀尾一郎:ガラス絵

パラディソスの方舟

委員、森口由美子

カーニバル

会員、粥川眞紀子

和のしつらえ

会員、清水 洋

水面

会員、辻 聖子

堀端にて

水彩部門:受賞作品紹介。

水彩協会賞:近藤隆弘

生命力ー継なぐ力ー

中日賞:河戸寿恵子

邂逅 part3

東海テレビ賞:石黒 巌

豊浜漁港

愛知県県教育委員会賞:山本忠弘

つぶらな瞳

名古屋市長賞:鷲主まゆみ

355×2

名古屋市教育委員会賞:白鳥喜代司

木曽の崖屋造り 2024

会員努力賞:三宅加代子

夏の朝

G・モーゼス賞:河合定雄

想い出のそば処

新人賞:若森晋子

蒼茫

奨励賞:落合よし子

春近し

佳作賞:松永隆男

1月 中世の街プラハ

トヨタ画材店:吉田勝朗

不撓不屈

イシカワ画材賞:西川典一

2022アメリカにて

セントラル画材賞:加藤弘美

土偶が歌い出した

大黒屋画廊賞:竹下 功

高月院

作品紹介、版画の部。

版画部門:作品一部紹介。

委員、浅井重一:木版

湿原の一隅

委員、大澤啓三:木版

23・砂漠の民・2

委員、吉川房子:木版

促(うなが)す-5

委員、鏡味 満:銅板

遠来のお客様

委員、大隅東也:木版

Divergence2401

委員、老本貴美枝:木版

海原の辺りにも沖にも

<背景を黒く塗りつぶす>

先ず和紙全体を黒く塗りつぶした後、黒の背景の上から作品を制作する方法。

本作品は、カメの背景部分を黒く塗りつぶすことで、カメの重厚な存在感を効果的に表現しています。

委員、川合恵子:シルクスクリーン

冬静寂

委員、小瀬垣宏郎:アクリル・木版

百間滝
<アクリル・木版:作者よりヒヤリング>

アクリル板に黒を表現する細かい線を彫り、色彩の部分は木版にて表現、独自の表現方法を開発されています。

因みに、小瀬垣宏郎氏はなんと御年92才。今回水彩協会賞を受賞の内藤三香さんは、同氏が教職時代の教え子でした。

委員、真田芳子:木版

幽遠

<裏刷り:作者よりヒヤリング>

真田芳子さんの特徴は、裏刷り。和紙の裏側を摺った絵具が、和紙を通し独特のにじみとなって表現されます。

委員、柴田増美:木版

ゆらぎ17

委員、鈴木正仁:銅板

Vibration2024

委員、鈴木洋子:リトグラフ

沈黙23-9

委員、末平博子

明日への行方24-1

委員、徳山ヒデミ:銅板

朝になれば
<銅板作品の貼り合わせ:作者からヒヤリング>

貼り合わせに両面テープを使用、緊張しました。双方の作品の紙の乾燥状態を均一にするのがポイントです。

銅板一枚は小さいので、大きなサイズの作品を制作する場合、貼り合わせに、両面テープか糊を使用します。

委員、野村龍也:木版

安曇野わさび田

会員、藤崎増男:木版・コラグラフ

時空-24
<木版・コラグラフ:作者の説明>

マチエールとして、黒と下部の濃紺の部分を除きすべての下地に粒々の模様を刷り込みます。

マチエールは、コルク・壁紙などの凹凸を使用し刷り重ねます。色彩の変化は、重ね摺リとシナベニヤの木目効果です。

委員、成田郷子:木版

ベロベロバ~!

<大きな作品:作者からヒヤリング>

今回の作品は、和紙サイズを超えていましたのでヒヤリング。色付き襖紙(高級色彩入り)を使用でした。

作品表面の凸凹は、襖紙を一旦畳んだ後広げました。白い色抜きの部分は、漂白剤の脱色効果に気づき点在散布し脱色しました。

成田郷子さんの作品は、水族館の生き物を中心にユニークな表現でデフォルメされ、観賞者を楽しくさせます。

委員、羽多野豊子:木版

夢ひと夜ー15

 

委員、松元 哲:木版

スクウェァ 3

委員、馬淵英樹:インクジェット

明日への誓い

会員、緒方 隆:拓摺

I’m home
拓刷り>
  1. 作品を彫り終えた版木にCMCを塗る。
  2. その後、版木に和紙を重ね合わせる。
  3. 和紙の上から霧吹きで和紙全体を濡らす。
  4. プレス機(足踏)で和紙に圧を加え版木と密着。
  5. 和紙を乾かす。乾燥した和紙にタンポ作業をする。
  6. タンポ作業が終わったら、版木から和紙をはがす。

CMCとは、カルボキシ・メチル・セルロースという特殊な糊。

<ご参考>第41回 春日井版画クラブ杲作品展、展示作品紹介。拓刷り。

 

一般、鬼頭幸三:シルクスクリーン

水ぬるむ

遺作、沼田豊彦:木版

・・・私にとって三人の朝日カルチャー木版画教室の最初の講師で、同氏から作品作りにおける心構えをご指導頂きました。

像8
<沼田豊彦氏が遺してくれた言葉>

作品制作における心構え:先人や他の人と同じようなことを繰り返しやっていてもダメ。

沢山の版画作品の中で「この作品はあの人の作品」と分かるようテーマを決め他の人と違った独自の表現を目指しなさいでした。

 <ご参考>沼田豊彦(木版画)回顧展:作品紹介。その他

版画部門:受賞作品紹介

水彩協会賞:内藤三香

カラス45
カラス46

愛知県知事賞:坂倉 健

キノコ ワンダーランド

芭蕉園

会員努力賞:宮崎幸代

午前一時
猫の夢

新人賞:町野好宥

秘境駅
鹿乗橋

セントラル画材賞:三宅 重

秋深む
春植える

新聞記事

・・・第78回水彩協会展が新聞記事に「水彩や版画多彩な色使い」として掲載されましたので紹介します。

写真:多彩な水彩作品に見入る来館者=名古屋・栄の県美術館ギャラリーで。

東海地方の作家らの水彩、版画作品を集めた第78回水彩協会展(水彩協会、中日新聞社など主催)が、

2月20日、名古屋・栄の県美術館ギャラリーで始まった。25日まで。

協会委員、会員と一般から募った水彩画182点、版画45点を展示した。

水彩部門は、透明感あふれる作品も並ぶが、目立つのは油彩と見まがう新鮮な色使いや下地材でたっぷり盛り上げた絵肌の作品。

版画部門も木版、銅版画やシルクスクリーンと多彩だ。水彩で最高の協会賞に輝いた近藤隆弘さん(瀬戸市)。

同氏の「生命力ー継なぐ力ー」は、動的でエネルギーに満ちた心象の景色を、原色で力強く描写。

版画で協会賞を得た内藤三香さん(名古屋市守山区)の木版画「カラス」は、「日の光を浴びて輝く羽毛の中に、

黒だけではない色が見えて美しく感じた」と、6班を刷り重ねて複雑な色味を表現した。

協会代表委員の大沢啓三さんは、「コロナ禍を経て、いい意味で落ち着いた作品が出そろった」と話した。

一般700円、65歳以上500円で大学生以下は無料。

「若い人達も足を運んでほしい」と、従来は有料だった大学背うも無料にした(2024/2/21日、中日新聞)。

第78回水彩協会展のまとめ

・・・以上、東海3県(愛知・岐阜・三重)の作家達の作品を集めた、第78回の水彩協会展(素描の作品該当なし)でした。

  • 水彩画:委員・会員・一般、合計182(昨年202)点
  • 版画:委員・会員・一般、合計45(昨年43)点

今回、審査部門で初めて進行役を任されました。

一言で言うと、見るとやるとは大違いでその対応の難しさを実感し、貴重な経験となりました。

幸い諸先輩方・仲間の助力をいただき、各賞を選定し審査を無事に終えることが出来ました。ただただ感謝!でした。

第78回水彩協会展を最後まで読んでいただきありがとうございました。