食べ物

お茶漬けとお粥(歴史・習慣・種類・お茶・だし・米)、定番茶漬け、その他茶漬け。

 

・・・日本食と日本茶についてのブログを記事にしていると、日本人は無条件にお米とお茶の相性の良さを実感していると思います。

飲みすぎた後の夜食や翌日の朝食、病気で食欲のないときなどは、お茶漬けとお粥のお世話になりました。

インフルエンザを患い、やっと回復途上の食事で久々に口にする梅干の入ったお粥のありがたさを思い出します。

お茶漬けの歴史に始まり定番茶漬け、そして小生の好物のひつまぶし(笑)まで調べてみました。

お茶漬け・お粥の(歴史)

・・・平安時代の貴族が常食としていた水漬け(水飯)が、鎌倉時代に入って湯漬けとなりました。

これが茶道の発達とともに、江戸時代に入ってお茶漬けに変化したと一般に言われています。

日本にお茶が伝来されたのが1191年栄西禅師によるものであります。これ以前は水漬け・湯漬けが中心でした。

一方お粥は、奈良時代から普及していたもので、室町時代になると湯漬けは雑炊とともに一般的な食べ物として利用されていたとされます。

因みに、十五日粥とは、小正月に食べる小豆粥のことです。一年の邪気を払う目的で、米・あわ・ひえ・きびに小豆を入れたお粥を食べる風習です。

江戸時代に入って煎茶が普及しこれとともに後世に白米が主食となった時期に、現在のようなお茶漬けが普及したと考えられます。

1738年、宇治田原剛の永谷宗円(ながたにそうえん)は、製茶方法を丁寧な方法に改めて、優良な煎茶の方法を編み出し、煎茶の祖と呼ばれています。

これまでにない緑色の水色と甘み、馥郁(ふくいく)とした香りは江戸市民を驚嘆させた(日本茶の歴史、池田書店)。当ブログ、日本茶(緑茶)、歴史・製法・種類。(麦茶)、歴史・製法・種類と楽しみ方・効能。(昆布茶)ご参照ください。

因みに、1712年(正徳2年)鸚鵡籠中記(おうむろうちゅうき)日記に茶漬けの記載及び湯漬け飯の記載があります。

それ以前の主食はムギやヒエが主食であったため、湯漬け茶漬けにしてもあまり美味ではなかったと推測されます。

そのため、煎茶の普及に加えて、白米が一般的になった昭和になってからお茶漬けが普及したとする考えもあります。当ブログ投稿者もこの説に賛同します。

写真:お茶漬け一杯の奥義(お茶料理研究会 編:創森社出版)。

 

お茶漬けの(習慣)

・・・酒宴のお開きの時間が迫ると、意外にも空腹なのに気づき、お茶漬け、おにぎり、ラーメンなどを最後に食べたりします。

酒宴の食と言うものは、どちらかと言うとたんぱく質が多く、少量の食べ物で酒が飲めてしまうため、話にはなを添えてしまうものと考えられます。

結果として、お茶漬け、おにぎり、ラーメンなど、でんぷん性のものが欲しくなるという次第であります。

お茶漬けの(種類)

・・・乗せる具の種類によって、お茶漬けは分類されますが、用いるお茶の種類薬味の種類によっても分けることが出来ます。

具は、生魚・干しもの・漬物・などに大別され、鯛茶漬け・サケ茶漬け・ノリ茶漬けなど豊富な種類があります。

具を様々に工夫すると、時間のないときにさっと食べられる簡単なものから、料理の具材として、接客に使えるものまで作ることが可能です。

又、茶の種類と入れ方を工夫しこれに薬味をうまく組み合わせると、食欲の衰える夏の食としても味わい深いです。

サケ茶漬け・ノリ茶漬け・ウメ茶漬けは、「三大茶漬け」として知られ、その手軽なものとして身近に愛されています。

お茶漬けの(お茶)

煎茶・番茶

・・・お茶漬けのお茶はどんな種類でも合いますが煎茶が日本では80%をしめ、一般的です。具材が少しで淡白な味の時は、しっかり入れた煎茶が良く合います。

番茶は夏茶とも言い、しっかり入れると食欲減退時の夏に結構パンチの利いた美味なものとなります。

ほうじ茶・玄米茶

・・・具材に特徴があり量が多いときには、ほうじ茶が向いています。ほうじ茶の一番の特徴は、香りです。いろいろな具材に良く合います。

玄米茶は、番茶に炒った米を交ぜたもの。焦げた飯と茶の香りで食欲をそそられます。

 

お茶漬けの(だし)

かつおだし

・・・鰹節のだしんの旨みの成分はイノシン酸とアミノ酸です。

<例、約800ml(味噌汁約4杯分)のだし:にんべん(株)HP

  1.  鍋に水1,000mlを入れ、沸騰したら火を止めます。
  2.  削りぶし30gを入れて、1~2分間おきます。
  3.  ざるに布又はキッチンペーパーをしいて、削りぶしをこし、1分間おきます。

 

昆布だし

・・・植物性のだしで、利尻昆布、マコンブなどを材料として水の2~5%を使ってだしをとる。昆布だしの旨味はグルタミン酸です。

  • <水だしでだしを執る方法>出しする時間は最低でも3時間ほど、できれば1晩以上浸けておくとよいです。そのくらいの時間をかければ昆布も戻って、すっきりとした味わいの自然なうま味が引き出されます。
  • <煮だしでだしを執る方法>分量の水に昆布を30分くらい漬け、その後中火にかけます。 煮立つ直前に昆布を取り出します。 ※または弱火で(お湯の温度を60℃程度に保ち)40分くらいかけて煮出します。

だしを取った後の昆布、捨てないで!
だしを取った後の昆布には、水に溶けない抗アレルギー成分がたっぷり含まれ、食物繊維も豊富。ちょっとした一手間でおいしく食べられます。

そのまますぐに調理に使うか、すぐに使わない場合は、3cm角くらいの使いやすい大きさに切って、ラップで包み冷凍しておきます。

ある程度の量になったら、佃煮にしたり、昆布ふりかけあめかけ昆布塩昆布などに変身させちゃいましょう。

煮干しだし

煮干しの頭と腹の黒いワタを取り除きます。

  • 水出しでだしを取る方法> ボウルに水と煮干しを入れてラップをし、冷蔵庫で6時間程度置き、ザルにあげます。
  • 煮出してだしを取る方法> 水を入れた鍋に煮干しを入れて、30分以上浸します。中火で加熱し、沸騰したら弱火にしてアクを取り除きます。5~10分程度煮出します。

 

干しシイタケ

干ししいたけはさっと水洗いし、汚れを取り除きます。

  1. 密閉容器に冷水を入れてふたをし、冷蔵庫でひと晩戻す。ざるにキッチンペーパーをのせて、しいたけ出汁をこします。
  2. 残った干ししいたけは、炊き込みご飯や煮物などに使います。 シイタケを干すと生まれるのが、うまみ成分「グアニル酸」です

干したりして細胞が壊れたとき、その中でうまみのもととなる物質と酵素が出会うことで出来るものです。(フルタヤ椎茸(株)広報)。

 

写真:だし素材(茅乃舎広報)

 

お茶漬けの(米)

・・・歴史的に本来のお茶漬けは、冷や飯を何とかうまく食べるために考え出されたものです。しかし現在は、レンジなる心強い味方がいます。

炊き立てのご飯に煎茶をかけるという方法は、その目的を異にしますが、ごはんは炊き立ての方がうまいですよね。

具を少々吟味すると、炊き立てご飯の茶漬けは接客用にも用いることが出来ます。

固めの炊き立てのご飯煎茶をたっぷりと言うのがコツです。ごはんがやわらかいと煎茶をかけただけで汁が濁り、風味が減少します。

又、煎茶の量が少ないと、ごはんが煎茶を吸ってしまい、同様に風味が損なわれてしまいます。

定番茶漬け

サケ茶漬け

・・・先ずサケをこんがり焼いて、なまぐささを抜くのが真骨頂。切り身の新巻き鮭もサケ茶漬けに変身させましょう。

サケを焼くとき、皮を外し身を粗くほぐします。香ばしい皮は好みによりますが、大きめに切って用いるとよいでしょう。黒く焦がした部分は除きます。

ごはんの上に先ず焼きのりを乗せ、サケの身と皮、ブブあられを風味づけに醤油をたらしお茶を注ぎます。

この場合のお茶は、番茶よりタンニンの多い煎茶がおすすめです。魚の生臭さを中和する働きがあります。

写真:お茶漬け一杯の奥義(お茶料理研究会 編:創森社出版)。

 

タラコ茶漬け

・・・先ずタラコを丸ごと金網に乗せて、中火であぶる。タラコの表面全体が白く、内側はレアの赤みが残る程度の炙り加減がベストです。

火が通り過ぎるとぱさぱさしてタラコの味が半減します。次にタラコを1~2cmの斜め切りにし(ほぐしてもよい)、温かいご飯の上に載せます。

タラコの塩分で味が付くため、だしを用いる場合は薄めにします。タラコの代わりに辛子明太子を用いても良い。

辛子明太子を軽くあぶって、ノリキムチとともに熱々のご飯に乗せたお茶漬けは、夏バテの時など、気が引き締まります。

写真:お茶漬け一杯の奥義(お茶料理研究会 編:創森社出版)。

 

ノリ茶漬け

・・・ノリは風味のある薄手のものを選び、全体をあぶった時濃い緑色になるものが望ましい。焼きのりは香りを保つのが難しいので開封後はなるべく早く使用します。

器に盛った熱々のご飯の上にあぶったノリをもんで、ごはんが見えなくなるくらいかけます。

三つ葉の茎は小口切りに、葉は刻んで、本ワサビのおろしとともに添える。ノリの良い風味とお茶の香りは相性が抜群です。

お茶をご飯にかけるのではなく、コンブにカツオだしに塩、薄口しょうゆ、日本酒などの基本調味料を用いた「汁」を用いることもあります。

ノリ茶漬けのあしらい・薬味には、針ショウガ、切りごま、小粒あられ、ユズなどいろいろバリエーションを楽しめます。

写真:お茶漬け一杯の奥義(お茶料理研究会 編:創森社出版)。

 

お好み漬物茶漬け

・・・漬物茶漬けはお茶漬けの基本。うまい漬物さえあれば、後は何も必要ないといっても過言ではありません。

野菜の浅漬けやぬか漬けなどのあっさり型の漬物を好みの大きさに切り、オオバを敷いたご飯の上に乗せます。

あっさり型の漬物には、こってり型のゴマを用いると相性が良い。白ゴマまたは黒ゴマを香ばしくいってから振りかけます。

梅茶漬け

・・・梅干には、塩漬け梅干し、シソ漬け梅干し、小梅のカリカリ漬け、ウメ漬け(塩漬けウメに砂糖を加え、ほんのり甘く漬ける)などの種類があります。

<ウメ茶漬け>温かいご飯の上に、シソの色の鮮やかなやわらかい梅干(タネを除き、5~6片に切り分けたもの)を乗せます。

の上にオオバを細切りにして散らし、煎茶・番茶・ほうじ茶と、好みのお茶をかけていただきます。

<小梅茶漬け>柔らかなウメから種を除いた梅肉に、かつお節と醤油少々を加え交ぜたものを用いても良い。

色よい小梅を真ん中に、昔ながらの塩昆布・実サンショウ・青ノリを散らして、召し上がるのもよいものです。

塩昆布茶づけ

・・・塩昆布の味と、お茶の香りのミックスは、お茶漬け定番のうまさです。アサツキを5mmの小口切りにしたり、煎った白ゴマを振りかけたりします。

若い寮生活の頃、仕事で?帰りが遅くなる人のために食堂に常備してあったのが塩コンブとポットのお湯でした。お世話になりました(笑)

番茶または玄米茶の葉をたっぷり使い、熱いお茶で刻出したお茶をかける。旨みがジワーッとしみる。塩コンブの底力発揮です。

コンブをごく薄く削ったおぼろコンブやごく細い線状に削った、とろろコンブもお茶漬けにできます。しらす干しや針ショウガをあしらいます。

ちりめんザンショウ茶漬け

・・・ちりめんじゃこと、はしりの実ザンショウを色香よく炊き合わせた佃煮。山海の幸を合わせた一品として酒の肴、ごはんのお供にうってつけです。

ごはんの上にちりめんザンショウを乗せ、お茶は香ばしい熱々の玄米茶をかける。味わいは、お茶づけ界の時代を担う上昇株です。

<ちりめんザンショウの作り方>青いサンショウの実を、醤油とみりんで濃い目の味付けで煮る。長い期間保存できる食品です。

ちりめんじゃこをオリーブ油を熱したフライパンに入れカラリと炒める。味付けサンショウと混ぜ、出来上がりです。

 

ハマグリの時雨茶漬け

・・・時雨ハマグリを温かいご飯の上に並べる。お茶漬け用の時雨ハマグリは、格別に大ぶりのものでなくてもよい。

柔らかめに煮てあるものはそのまま用いるが、固めに煮たりおおぶりのものだったりした場合、刻んで用いると旨みを増します。

アサリのむき身をたれに付けた後、竹串に差して焼く。焼いたアサリを温かいご飯の上に置き、生ワカメを添え、切り黒ゴマと七味唐辛子を振りかけ、お茶をかける。

その他茶漬け

めでたい茶漬け

島根:(有)日本海

・・・たまには気分転換にお手の軽な、調理済み鯛茶漬けなどいかがでしょうか。

具材:調理済、島根県産鯛。たれ:醤油・コンブ・かつお。薬味:あられ・ゴマ・乾燥三つ葉など。

<お茶漬けで召し上がり方>

  1. 調理済、鯛の実をレンジで5~10秒ほど温める。
  2. ご飯の上に具材と薬味を乗せ、おゆ(お茶)を注ぐ。
  3. たれパックのをかけて出来上がり。
写真:調理済、めでたい茶漬け。お手軽で美味しくいただきました。。島根県出雲市高岡町398,TEL0853-21-7272.

 

<炊き込みご飯として召し上がり方>

  1. お米一合と同量の水、具材とだし醤油を入れて炊きます。
  2. 炊きあがったら、薬味を入れてよくかき混ぜると出来上がり。
写真:左からパック、調理済み中身、裏に調理法が書いてある包装紙。

 

お茶漬け鰻

京都「かね庄」のお茶漬け鰻

・・・京都市東山区、縄手通りにある「かね庄」慶応1年(1868年)創業。お茶漬け鰻の専門店として知られます。

  1. お茶漬けにする前に、身を柔らかくして香りを楽しむために、まずは熱々のご飯の間に挟んで蓋をし、少々蒸らします。
  2. お好みでワサビやサンショウを乗せ、煎茶をそそいでいただきます。
写真:お茶漬け一杯の奥義(お茶料理研究会 編:創森社出版)。

ひつまぶし

名古屋のひつまぶし、店舗:「蓬莱軒」「いば昇」「川次」「蓮花」他・・・。

 

写真:「川次」のひつまぶし(筆者のお気に入りは「川次」のひつまぶし:スカイル9F)。

ひつまぶしの食べ方

・・・客の自由に任せられますが店によって推奨されます。「あつた蓬莱軒」では以下の方法を推奨しています。

  1. お櫃の中のご飯を、しゃもじで十字に4等分する。
  2. 分けられたご飯の1/4を茶碗によそい、普通の鰻飯として食べる。
  3. 次の1/4をよそい、薬味のネギ、ワサビ、海苔などを好みに応じてかけ、混ぜて食べる。
  4. さらに次の1/4をよそい、出汁や煎茶を注ぎ、お茶漬けのようにして食べる。
  5. 最後の1/4は、上記のうち最も気に入った食べ方で食べる。お茶漬けです(笑)。

<ひつまぶし誕生は、2代目甚三郎と女中頭お梅さんの創意工夫>

・・・明治6年創業のあつた蓬莱軒は、割れやすい出前持ちの皿を木製の器に変え、ウナギの切れ端でも有効活用できるように、細かく切って飯と混ぜて大好評。

会席料理の食事にも出すようになりました。又お茶漬けに試してみたらこの味が好評で、今日に至っています(蓬莱軒HP抜粋)。

「なごやめし」の総選挙、ひつまぶしは2年連続1位。

・・・愛知県や名古屋観光コンペンションビューローなどでつくる「なごやめし普及促進協議会」は、昨年一月末から実施していた「一億人のなごやめし総選挙2022」の結果を発表した。(2022/3/5日付、中日新聞)。

  1. 1位、ひつまぶし(前年、1位)。
  2. 2位、みそカツ(前年、3位)。
  3. 3位、手羽先(前年、4位)。
  4. 4位、みそ煮込みうどん(前年、2位)。

 

まとめ

・・・人は誕生してから、その天寿を全うするまでよく食べます。日本人の主食はお米で、そしてお茶(先人が江戸時代、創意工夫で作り上げた煎茶)があります。

お茶の効用を生かした米食のスタイルを見直してもよいのでは、世界でも類のないコラボと思います。外国人でお茶漬けにはまる方もいらっしゃいます。

誰かとあるいは一人で食することもあるでしょう。お茶とお米の組み合わせ、お茶漬けを再認識し、今後の食生活に幅が広がれば幸いです。

最後までご覧いただき有り難うございました。