アート

第63回 版画伍人展、展示作品紹介(シルクスクリーン・エッチング・木版)、その他。

 

・・・版画伍人展とは、様々な異なる版画技法から成る作品を一堂に集めた特徴のある展示会です。

今回は、シルクスクリーン・エッチング・木版で制作された作品36点(小作品13点含め)を展示しました。

更に同じジャンルの中でも制作方法は細かく分かれており、作品ごとにその特徴・違いを楽しんでいただければ幸いです。

第63回 版画伍人展

  • 開催場所:愛知県美術館8階ギャラリー J2室。
  • 開催期間:2023/6/7(水)~6/11(日)。
  • 開催時間:AM10:00~PM6:00(最終日PM5:00迄)。

展示作品紹介(シルクスクリーン)

杉藤万里子:シルクスクリーン、水性インク

・・・透明水彩が持つ特有の重ねによる発色効果がいかんなく発揮される作品が特徴。

今回のモチーフは、従来の植物(茱萸)から人物(人間模様)への変化をお楽しみください。

三位一体 その1

三位一体 その2

循環 その1

循環 その2

小作品:シルクスクリーン、水性インク

*カリーナの願い その1
*カリーナの願い その2
*ご参考:「紅いカリーナは草原に」の歌

元々この歌は1914年ロシア帝国とオーストリア・ハンガリー帝国による支配下でのウクライナ独立運動の中で生まれた歌。

2022年のロシアによる侵攻に対し、戦うウクライナへの支持を示す歌。ウクライナ語詩歌で歌われています。

*カリーナ(和名はカマズミ)

白い花と食用になる赤い実を付ける落葉低木で、ロシア民謡の「カリンカ」と同じもの。(ネット検索)。

 

米倉泰民:シルクスクリーン、油性インク

・・・油性によるシルクスクリーンでグラデーション細い平行線を多用した作品が特徴。

小作品の細やかな美しさと、大作にみる様々な形と想像力に毎回驚きます。

黎明

自由律

好日

小作品:シルクスクリーン、油性インク

Tempo 1
Tempo 2

 

展示作品紹介(エッチング)

鈴木正仁:エッチング、モノタイプ

・・・銅板(亜鉛版)モノタイプの作品を基本に、グラデーションとホワイトガソリンを巧みに使用し表現した白の組み合わせが特徴。

今後も白と多色の組み合わせた表現の作品が楽しみです。

Voice   M23

Voice   S23

Vibration   01

Vibration   02

小作品:エッチング、モノタイプ

GIFT  230221
GIFT  230222

 

展示作品紹介(木版)

羽多野豊子:木版、エンボス刷り

・・・屋空に上がる迫力満点の花火が大好き。全国(長岡・熊野など)の花火大会を楽しむ。

厚手の和紙に圧をかけエンボス加工したうえ、油性インクと透明水彩のコラボから成る作品にパワーを感じます。

夢一夜ー 6

夢一夜ー 11

夢一夜ー 13

小作品:木版、エンボス刷り

夢一夜ー 9
夢語り B

藤崎増男:木版、コラグラフ

・・・築地塀の持つ瓦と粘土(コラグラフ処理)から成る単純な層をモチーフとした作品が特徴。

近年、単純な層の変化と多色の形を組み合わせた作品にも挑戦中です。

土塀 16-1

土塀 23-2

<ご参考>土塀 23-2

抽象木版画作品「土塀」②:展開、ヒント・工程・裏技・その他

JOINT 16-3

JOINT 23-1

<ご参考>JOINT 23-1
抽象木版画作品「土塀」②:展開、ヒント・工程・裏技・その他

 

小作品:木版、コラグラフ

「丹・端」ー 1

「丹・端」ー 2
「丹・端」ー 3
<ご参考>小作品:木版、コラグラフ
丹・端」ー 1~3の制作過程

 

吉川房子:木版、板目

・・・透明水彩の最大の特徴である、多色刷りの持つ明るい効果を引き出した作品が特徴。

作品中に繰り返される一見単純な形に引き込まれ、我々の持つ古代のDNAが反応します。

弥 ー 3

弥 ー 4

弥 ー 6

弥 ー 9

弥 ー 2

小作品:木版、板目

弥 ー 8
弥 ー 7

 

その他

新聞記事

切磋琢磨続ける6人の姿感じて 栄で版画展

写真:版種の異なる6人で作品を出品し合った吉川さん(右)と藤崎さんー栄の県美術館ギャラリーで。

 

版画の異なる愛知、三重両県の60~80代の版画家6人による「版画伍人展」が、栄の県美術館ギャラリーで開かれている。11日まで。

千種区の吉川房子さん、緑区の藤崎増男さん、守山区の米倉泰民さん、日進市の杉藤万里子さん、

三重県鈴鹿市の羽多野豊子さんの6人。木版、銅板、シルクスクリーンの作品36点を展示した。

藤崎さんは、織田信長が熱田神宮に奉納した築地塀をモチーフとした木版画「土塀」を出品。

紙を張り重ねて立体的な版を作るコラグラフの技法も用い、洗練されたデザインに仕上げた。

吉川さんの木版画「弥(いよいよ)」は、ヨーロッパの古城などに三角旗が連なるガーランドを配した図柄を、

赤を基調に刷りあげ、高揚感を込めた。同展はメンバーの交代を経ながら毎年開き、今年が63回目。

30年来出品を続ける吉川さんは「顔触れは変わりながらも、互いに切磋琢磨を続けている姿を、作品から感じていただければ」と話した。(2023/6/9日、中日新聞)。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

第63回 版画伍人展のまとめ

・・・版画伍人展は、版画の数ある技法をその特徴ある作家と作品をまとめて展示するグループ展です。、

過去には地道な展示活動認められ、1998年に「平成9年度愛知県芸術文化選奨・文化賞」を受賞したグループです。

現在メンバーは、愛知・三重県在住の版種を越えた作家たちです。各分野で版画の普及と発展に努め、互いに切磋琢磨を図っています。

高齢になり体力的に衰えを感じながらも、毎年新作造りに挑戦し続け「伍人展」の伝統を継続発展させたいと思っています。

最後までご覧いただき有り難うございました。